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鳥獣人物戯画 商品一例

鳥獣戯画とは

高山寺には鳥羽僧正の筆と伝えられている絵巻が四巻あり、これらは普通の絵巻と違って詞書なく、全巻墨描の線を自由に駆使してかきつらねた白描画である。各巻主題を異にし、第一巻は猿兎蛙等を擬人化してその遊戯のさまを描き、第二巻は多数鳥獣の群をかき、第三巻前半は僧侶俗人等が勝負事に興ずる様をかき、後半は第一巻に類似した猿蛙等の擬人的遊戯の様をかいたもので、第四巻は第三巻前半に類似し道俗多数が勝負事や行事を行っている様をかいたものである。

これら四巻についてその描写作風などから見ると第一・第二の両巻はまさに同筆であるが、第三巻の前半、後半、第四巻等はいずれもそれぞれに筆致に趣を異にする点が多く、おそらく別筆と見るべきであろう。これらのうち、第一・第二の両巻は描写もすぐれており、その連綿流動の作風には藤原期の仏画や絵巻等に見る様式的特徴が顕著であり、おそらく十二世紀を下らぬ作であろうが、そのほかの諸巻はこれについで十三世紀鎌倉所葉にかけて製作されたものと思われる。 これら諸巻の筆者については、後世、鳥羽僧正の筆として喧伝されるようになったが、四巻同一筆とは考えがたい。

ただ第一第二の両巻の製作時代は、僧正の在世年代とあまり隔たらぬ頃と思われ、ことにその作風には当時の仏画や図像本等の描写に共通する点がうかがえるから、当時画技に練達した画僧か、ないし絵仏師の筆になる物と推察される。自余の諸巻もおそらくまた同じ系統の作家の手によって順次描き継がれたものであろう。これらの点はまたこの四巻の主題に僧侶の姿や仏教関係の事件やまたはその戯化と見るべきものの多いことなどからも推察されよう。

これらの主題がそれぞれいかなる意味をを持っているか、その解釈に関しては種々の議論がある。第一巻と第三巻後半の猿蛙等の戯画は、当時古代より中世への変革期における有為転変の社会相、ことに当時の仏教界の有様を風刺したものと見られ、更に第三巻前半と第四巻における滑稽卑俗な勝負事の場面などは、当代の世紀末的な世相の一端を露呈したものとも解せられよう。 (国宝図録より)